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これからの時代に求められる人になる!ファッションEC入門講座-第2回目-後編
- 2015/10/8
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前編では、「店舗」対「WEB」から見えてくる、会員動向をご紹介させていただきました。
さて、具体的に奥谷氏がどのような施策を実施してきたのか、気になる続きをご覧ください。
4:6の法則から、あえて無印良品WEBサイトに訪れたお客様に、アンケートをとったところ、以下の事実が判明しました。
[オンラインストア利用動機]
1位 買い物前に商品をチェックする
2位 オンラインショッピング
3位 新商品の情報をチェックする
4位 キャンペーン情報を見る
5位 店舗情報を見る
ここでお客様は、Webで何か買いたいから、WEBサイトに来るわけではなく、「情報収集」のために、WEBサイトに來ることがわかりました。
実は、WEBは敵だといっていた店舗でさえ、良品週間のクーポンをお客様に届けるために、会員登録を促しており、結果として「お客様がWEBと店舗を行き来する」という新たなスタイルができていました。
しかしながら、詳しいデータは店舗側でわかっていなかったため、数字を見て施策を考えて打つことのできる、Web事業部が施策立案から店舗に関わっていきました。
施策を計画・実施をするなかで「どうやったらお客様がネットを見て、店舗に足を運んでいただけるのか?」ということを考えていました。
ここでは店舗送客のために実施した、施策を紹介します。
Social Medeiaからの情報発信は、有楽町店のみの取り組みでしたが、見事成功を収めました。その後も他の店舗で施策を繰り返すことで、「Webって敵じゃないね」という風土ができあがってきました。
2.の店頭受け取りサービスは、ネットで買うのは怖いため、情報閲覧のみ、という方に支持をうけ、Web事業部の年間受注の4%を占める売上になりました。この取り組みで「Webって店舗にお客様を連れて来てくれるものなんだ」ということを理解してもらいました。
他に他社のサービスを活用した事例を紹介します。
お客様の消費データをみると「文房具は買うけど、食品は買わない」「食品は買うけど、衣服は買わない」といったように、同じ店舗内でも、お客様には商品と距離があることに気づきました。これらの距離を縮めるために「ショプリエ」という来店促進サービスをつかって、クリスマス時期にキャンペーンを実施しました。
キャンペーン中に、多くのお客様にスキャンしていただけましたが、
3つの課題が浮上しました。
1.同じお客さんが何回もできてしまう
2.店舗オペレーションの問題
3.来店動機として機能したが、購買につながっているのか?
3.については、キャンペーン参加者に、アンケートを実施し、回答を確認することで、売上に貢献していることがわかりました。より一層、Webを用い、お客様とのコミュニケーション作りに、力を注いでいいきました。
2000年から「モノづくりコミュ二ティー」というものがあり、SNS使用前から、お客様とコミュニケーションをとる土壌がありました。2009年10月Twitterアカウント開設を皮切りに、2010年にはFacebookページ、2011年にはmixiページ、2013年にはLineのアカウントを作成しています。
Socail Mediaはearned mediaであるということを留意しつつ、Own mediaへ入るきっかけとして力をいれています。
Social Mediaは当時から盛り上がっていたため、オンラインにおけるお客様との盛り上がりを、オフラインで表現することに挑戦したのが「KNIT Like COLLECTION」です。
キャンペーンの結果としては、
・お子連れのお客様の関心が高く、多くの人がディスプレイに滞留していただけた
・お客様のいいね!が可視化され、見ることができるので店頭でのインスタレーションにつながった
・首都圏以外の人もアンケートに参加してくれ、売上にも一定の効果
このキャンペーンの成功の要因は3つあげられます。
・売り場というリアルな場
・Social Media上の盛り上がりを可視化にする
・五感に訴える
次はビッグデータをつかったキャンペーン「カレーなる無印良品」についてご紹介します。
Youtube動画:カレーなる無印良品
ビッグデータは左脳的(過去)、マーケティングは右脳的(未来)で、ビックデータとマーケティングは、結びつかないと思う方もいらっしゃるかもしれません。このキャンペーンは、ビッグデータとマーケティングの親和性は「高い」ということを示した事例となりました。
データから判明した内容を、お客様の導線作りに繋げました。
①意外な事実を動画に組み込む→②店舗やYoutubeで配信→③ネットでキャンペーンの告知→④試食会を実施している店舗に行ってもらう、流れを作りました。
テレビで取り上げられた時ほどの、効果はありませんでしたが、このキャンペーンもかなりの売上を収めることができました。
私自身がずっと思っている事、
それは「リアルでの買い物の楽しみは、なくらない」ということです。
たとえば、先ほどご紹介した「カレーなる無印良品」の事例では、試食を実施した店舗の売上は、
試食をしなかった店舗より多かったです。こういった試食や実際に体験することは、店舗でしかできません。
Web事業部として大切なことは、リアル店舗における
1.買物の楽しみ
2.非日常性
3.新たなる発見
のお手伝いをSocial Mediaとデジタルデバイスを使って行うことにあります。
伝わるメッセージは、いつもアナログとデジタルの融合です。
お客様が感動することは変わらない、しかし今は伝わり方が、デジタルになっています。
いまや店舗だけ、Webだけ、とどちらか一方で買い物をする時代ではなくなりました。またWebを使うことで、何に興味があるのかが、わかるので「もの」とネットの関係を考えることが大切です。
B to CからB with Cへ お客様のそばで繋がるMUJI passport
スマートフォンが普及して「検討→購買→使用・消費」のプロセスでネットでつながっているいま。従来の広告は効きづらい時代になっています。
では、このような時代に、無印良品はどのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか?
「B with C」といって、なるべくお客様の周りに、コミュニケーションチャネルを置き、お客様と繋がっていこうとしています。そのような背景で、アプリを使いお客様と繋るための仕組みが、MUJI passport です。
・Web、リアルの区別なく無印良品のファンの方とコミュニケーションを図る
・持続的な来店数増を売上増につなげる
・マーケティング施策効果の可視化
コミュニケーションを図る施策として、マイレージプログラムを行っています。
買い物の際に、ポイントを付与するだけでなく、改善提案や店舗チェックインなど、ポイントを付与することで、お客様と無印良品の距離を可視化しています。
ポイント付与の仕組みによって、「来店頻度を増やす」ような取り組みもできるようになりました。
MUJI passport の効果としては、
コンスタントにダウンロード数が増えていまでは400万ダウンロードを超えています。
アプリを導入することで、リアル店舗のデータを取ることができるようになりました。
たとえば主要顧客やアプリをつかった売上構成比や、来店頻度、商圏などが分かり、次のマーケティングの施策に生かすことができます。
これまで良品週間の案内をチラシ配布などで、実施していましたが、MUJI passportのおかげで従来の告知方法より、多くの方が良品週間の恩恵を受けることができた点も効果の一つです。
ロイヤリティプログラム自体ははどの会社でも行っているかもしれません。
無印良品はお客様とのつながりを演出するために、MUJI passportを取り入れています。これからの時代、Webは「つながりを演出するための場所」になるでしょう。
小売業にとって重要なことは、Webとリアルを融合することです。Webのためでなく店舗のためにもつかえる技術であることを、皆様には覚えていただきたいです。
<今回の講義のまとめ>
・お客様の購買動機や顧客体験は、購買時のみではありません。購買前の検討のフェーズや、購買後の使用・消費のフェーズも含まれています。お客様との絆を深めるためには、これらのフェーズに寄り添い、顧客時間を増やして満足度を上げていくことが大切です。
・ECは「ネットでものを売買する場」から、「お客様とのつながりを演出する場」という役割を担うようになってきます。
・小売業にとって大切なことはネットとリアルの融合です。
ネットというのはネットだけでなくリアルの店舗のでも使える技術です。
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講師プロフィール
元 株式会社良品計画 WEB事業部 部長
奥谷 孝司(おくたに たかし)
(株式会社良品計画での主なキャリア)
1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に2年出向しドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。帰国後、海外のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛ける「World MUJI企画」を運営。2003年良品計画初となるインハウスデザイナーを有する企画デザイン室の立ち上げメンバーとなる。05年衣服雑貨部の衣料雑貨のカテゴリーマネージャー。現在定番商品の「足なり直角靴下」を開発、ヒット商品に。10年WEB事業部長。「MUJI passport」のプロデュースで14年日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の第2回WebグランプリのWeb人部門でWeb人大賞を受賞。
2010年 早稲大学大学院商学研究科夜間主MBAマーケティング・マネジメントコース(守口剛ゼミ)修了。
2015年4月 日本マーケティング学会常任理事就任
2015年10月 株式会社良品計画退社予定
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★小売り業に関するお話は、
当機構の公式テキスト「ネットショップ検定 公式テキスト レベル1」
P23に掲載されております。ぜひご参照ください。