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これからの時代に求められる人になる!ファッションEC入門講座-第4回目
- 2015/10/24
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世界に流れる情報の量は2010年にはゼタバイトになり、企業にとっては消費者に何か伝えたくても「伝わらない」時代となりました。
今回は、株式会社パルコメディアコミュニケーション部の島袋 孝一氏をお迎えし、伝わらない時代の消費者行動と、自社での取り組みについてお話いただきました。
<用語集>
トリプルメディア / O2O / オムニチャンネル / LTV
あなたが伝えたい情報は、
生活者にとってはたった「砂の一粒」である。
佐藤尚之(2015)明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 講談社現代新書)
情報過多な時代に「お客様とコミュニケーションする」手法が変わってきています。「明日のプランニング(佐藤尚之さん著)」の書籍から、そのエッセンスを引用しながら、お伝えいたします。
2010年、世界に流れる情報量はゼタバイトの時代になりました。
1ゼタバイトは「世界中の砂浜の砂の数」と言われていることから、
本書では情報洪水ならぬ「情報”砂の一粒”時代」に突入したと掲げています。(以下「砂一時代」)
インターネットの爆発的な普及よって迎えた砂一時代においては情報は「ありがたいもの」から
「うざい」ものになりました。
自分に興味関心がない商品、自分にとってほしいタイミングに情報が渡されると「うざい」と感じられるのが砂一時代の一つの特徴です。情報をまとめてくれる「キュレーションメディア」が出てきているのもそのような背景があるからです。
情報を伝える立場としては過酷な時代になったとも言えるでしょう。
しかしながら、このような時代でも「伝わる方法は」あります。
砂一以前と砂一時代が混在する日本
砂一時代以前なお客様」と「砂一時代のお客様」というのが今の日本には混在しています。
まずは「砂一以前なお客」と「砂一時代のお客様」とプランニングを切り分ける必要があります。
インターネットを日常的に使用しない人は日本全体の約4割近くおり、ソーシャルメデイアにいたっては6割の方が利用していません。こういった方はインターネットを使って積極的に情報を収集しているわけではないので、従来の4マスといわれるマスメディアを使ってのコミュニケーションで、「伝わる」ことが多くなります。
スマートフォンのシフトが進んでいるといっても、4割弱つまり約5,000万人の日本人は、まだまだフューチャーフォンを利用していることからも、コミュニケーションの取り方は切り分けて考える必要があります。
伝えたいことを適切な場所・方法で伝えていくことがますます大切になります。
出典:総務省「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
砂一時代における消費者行動の変化
インターネットが普及した後、スマートフォンのが普及した後で、消費者の行動というのは大きく変わりました。
例えば、友だちとの飲み会の際、お店探しはどうでしょうか?
以前であれば、雑誌や駅前に設置してあったホットペッパー等のフリーペーパーから、お店を予約をしていませんでしたか?
今では、「食べログ」「Retty」などの口コミサイトや、「ホットペッパー」「ぐるなび」などのクーポンのサイトを、PCやスマートフォンで確認していることが多いともいます。
このように何かしようと思った時に、はじめになにか「これだ!」と思うことを、「純粋想起」といいます。
消費者に何かを伝える立場の人間としては、「純粋想起されるかどうか」が、かなり自社の売り上や認知度を左右されるということは、押さえておく必要があります。
そして、いかに「純粋想起」をされるかということを考えていくには、「トリプルメディア」のそれぞれの特性に応じて、お客様と繋がっていくことが求められます。
次に、パルコがお客様にメッセージを伝えるため、お客様とコミュニケーションするための事例と考え方についてお話いたします。
各施策の根底にある考え方としては、
訪れる人々を楽しませ、
テナントを成功に導く、
先見的、独創的、
かつホスピタリティあふれる
商業空間の創造
という経営理念に沿った施策を打っていくというものがあります。
生活者の変化に追いつくために
パルコではマス・コミュニケーションでの広告展開に強みをもっていました。
しかしながら生活者の接するメディアは多岐にわたり、PCやモバイルというメディアも、生活者が日常的に接点を持つようになりました。
PC・モバイルの施策は行っていたものの、生活者の変化は早く、その変化に追いつくため、2012年度に社内の若手を集めて社内横断組織「WEB戦略プロジェクト」を設置、2013年3月には宣伝部の業務のうち、 WEBに特化した部門「WEBコミュニケーション部」を創設し、生活者の変化に対応できる組織体制を作っていきました。
こういった組織の整備をしつつ先行企業の事例を参考にし、自社の理念にあった施策を実施していきました。
いかにお客様と繋がることができるのか?パルコの取り組み
これまでは4マスを通じてのみお客様との接点は一方通行でした。いまはインターネットのおかげでお客様といつでもどこでも繋がることができます。
このような背景のなかで「O2O」や「オムニチャネル」という言葉が流通業においても叫ばれるようになりました。
ただ、このような言葉も一部の業界の人がつかっているだけで、消費者にとっても自社のスタッフにとっても馴染みのない言葉でした。
パルコ社内では「24時間パルコ」と呼んで、社内関係者や取引先に自社の考えを伝えています。実店舗だけでなく、オンライン(WEB)でもSNSなどを通じて、お客様と、いつでも、どこでもつながって行こう、と考えました。
では、パルコのECの取り組みはどのようになっているのでしょうか?
店頭の商品をネットで注文・取り置きのできるサービスとして「カエルパルコ」というものをやっています。
全国19店舗、約3000ショップが運用しており、「ショップブログ」による情報発信を行っています。日常的にブログを発信していくこと、お客様との日常的なコミュニケーションの機会を持つことからお客様の接点を作っていき、最終的には「購買」につなげていくことが狙いです。
この「カエルパルコ」では、オンライン(ネット)でもオフライン(実店舗)でもどちらも、「実店舗のショップの売り上げ」として計上されます。
ほかにも自社開発の「POCKET PARCO」という、全国のパルコ館内約3,000店舗から、お客様にぴったりの商品情報をお届けするスマートフォンアプリを導入、外部のパートナー様とのコラボで、スマホゲーム「Ingress」をつかったプロモーションキャンペーンなど通じて、経営理念に沿った形、「先見的かつ独創的」な施策で、お客様との接点を創出し、コミュニケーションの深耕を行っています。
<まとめ>
・砂一時代は砂一時代以前に比べて「伝わらない」時代。しかしながら、お客様に応じてプランニングを切り分けて考えていくことで「伝わる」
・このような時代で大切なのはいかに長くお客様と繋がっていけるのか。繋がっていくことでLTV(顧客生涯価値)を最大化できる。
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執筆者:
株式会社パルコ メディアコミュニケーション部
島袋 孝一氏
2004年パルコ入社。全国パルコのテナント管理、リーシング業務に従事。本部での店舗オペレーション支援部門、経営企画室を経て、2013年3月より本部でのWEBプロモーションセクションに従事。店舗トリプルメディアの運用支援や、O2Oマーケティング、オムニチャネル化への導入・実践を行う。
マーケティングに関するセミナーでの登壇も豊富で、モバイル&マーケティングEXPO、MarkeZine DAYやアドテック九州などで登壇実績あり。