パート1に続き、東氏に正しいクレーム・苦情の対応についてお聞きいたします。
櫻木:売上があがっていくと、顧客対応に時間が取られてなかなかその処理に追われるということが多いと思います。顧客対応を効果的に行う秘訣ってあるんでしょうか?
東氏:特にこれと言った秘訣はないと思います。魔法の杖など、世の中には存在しないです(笑)一つ一つ丁寧に、社内で共有し、対策を考えていくことです。
櫻木:前回のインタビューでもあったように、顧客対応のルールを明確化すること、顧客対応時の知識に対してしっかり持つこと、社内での顧客対応履歴を残しておく事ですね。
櫻木:逆にいうとこういった基本ができていないだけに確認に時間がかかったりお客様のクレームにつながったりして、時間が必要以上にかかっているわけですね。 顧客対応の品質を維持するために、教育も欠かせないと思うのですが、どのように行っていけばいいのでしょうか?
東氏:私がやっている研修では、基本を学ぶことができます。ただ、一度理解してもすぐに忘れます。定期的に参加して頂きたいのと、オンジョブトレーニングとして、問題発生時に一緒に考える月額制のアドバイザーもやっています。
櫻木:なるほど笑 困ったら東さんに相談してみます。 具体的にどのようにサポートされているのか教えていただけますか?
東氏:経営者から、現場の担当者まで、チャットを使って相談を受けています。参加している人には、問題や解決の過程がシェアできます。後は、最後の決断は私がしないようにしています。可能性のあるパターンは、過去の経験から考えることはできます。決断するための材料は整えますが、どれが正解かは、コンサルタントが判断すべきものではないと思います。決断されたものは、誠心誠意応援します。
櫻木:顧客対応のプロフェッショナルにいつでも相談できるのは心強いですね。顧客サポート部門というのはどうしてもコスト部門と考える方もいらっしゃいます。プロフィットセンターに生まれ変わるためにはどのようなことが必要なんですか?
東氏:そもそもプロフィットセンターと考えています。新規顧客獲得に必要なのは魅力的な商品開発と広告です。一般的にはこの部門だけがプロフィットセンターだと思われがちです。しかしながら、一度既存顧客となれば、顧客満足が最も重要です。その意味では、顧客サポート部門が、営業とも言える最も重要な部門です。これがなくて、企業はなりたたないと思っています。
櫻木:ECや通販の世界はリアルの店舗がないだけになおさら顧客との接点というのは大切にする必要があるわけですね。 当然ではありますが、顧客対応によって客単価やリピーターになるかどうか変わってきそうですね。
東氏:まさにそうだと思います。ネットの世界になっても、全く同じです。今後は、高くても対応のいい所や商品のいい所から買うと言う人が増えるのではないでしょうか?
櫻木:「でんかのヤマグチ」さんではないですけれども、卓越した顧客対応というのは一つ差別化のポイントとなるでしょうね。
櫻木:顧客の声というのを生かしたいのですがどうしたらいいのでしょうか?
東氏:当社では、テキストマイニングを使って分析もしています。必要であれば、ご依頼いただければ分析します。件数が少なければ、自分自身で行うのも、とても勉強になります。
櫻木:テキストマイニングというのはどのような手法なのでしょうか?またどのように分析をしているのか簡単に教えてもらえますか?
東氏:言葉を単語やフレーズに分け、その出現頻度などから集計する手法です。苦情やクレームの内容を集計していくと、その企業の問題点が浮き彫りに見えます。
櫻木:分析にするためにはテキストにしておくことが大前提ですね。ということは、 電話での顧客対応履歴を記録する必要があるんですね。
東氏:電話などでも履歴を残す習慣は必要です。交渉履歴シートなどを作り、常に手元に置いておくのは良いかと思います。
櫻木:メールやチャットだと履歴が残るので小さいネットショップでもシステム導入など考えずに利用できそうですね!チャットサポート増えてきたと思うのですが、チャットでもかわらないですか?
東氏:チャットでも変わらないです。当社もアドバイスするときは、チャットシステムを使っています。
櫻木:今回はネットショップ向けお伺いしておりましたが、BtoBクラウドサービスやサービスECの会社でもためになりそうですね。
東氏:この7年、多くの企業にあるさまざまな問題を解決してきました。しっかり対応されている企業の伸び方はすさまじいものがあります。一度、ご連絡ください。 ありがとうございました!
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<取材ライター紹介>
櫻木 諒太
一般財団法人ネットショップ能力認定機構 事務局
公的機関でコールセンター立ち上げおよび顧客対応部門を担当した後に、中小・ベンチャー企業の海外販路開拓やEC支援に携わる。 退職後はネットショップ能力認定機構の事務局としてネットショップの教育普及に取り組みつつ、ワークスタイルの変革や次世代型成長企業支援のスキームをつくるべく一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会(JASISA)としても活動中。